陸奥新報に本学学生の「詩」が掲載されました



 平成28年1月1日付 陸奥新報朝刊の「新年文芸」のコーナーに、児童学科3年生の北澤佑依さんと、古滝夕華さんの「詩」が、新春の雑詠として選ばれ掲載されました。


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<世界>に問いかける詩  選者:藤田 晴夫

 2015年は、世界のあちらこちらで悲惨なことが起きていることを、これまで以上に知ることとなった年でした。そのような私たちを取り囲む<世界>が、詩の花を育てる水に溶かしこんだ一滴の養液のように、作品に染み込んだ詩に注目しました。





空に夢見た鳥たちへ
児童学科3年 北澤 佑依

空は青い
どうしてだろう
この空に限りない夢を見ているからである
誰かが言った
壮大な空へ私たちは羽ばたいていかなければ
ならないのだよ
誰かは続けて言った

この広すぎる空へ
私は飛び立てるのか
私の翼は小さすぎやしないか
身一つで大海原に放り出されてしまった
そんな不安が私の中に確かにあった
私は誰かに尋ねた
私は上手く飛べる?

「夢を見続けられる情熱があるのなら」

誰かはそう言って空へ飛び立った
空は真っ赤に燃えていた
私の中で張り詰めていた不安が少しずつ
溶けていくような
希望という名の温さが雪解けを知らせる
小鳥たちのように囀った

空は赤い
どうしてだろう
この空は消えることのない
情熱に燃えているから
私は自分に言い聞かせた

空には道はないけれど
自分の信じる道へ
精一杯羽ばたいて
夢を見続ける勇気を持ち続けようと
そう私は決意して
私は空へ飛び立った
私は未来へ飛び立った






選者のことば

 第2位。空が青いのは限りない夢を見ているから、という魅力的な詩句から始まります。終盤では、「空には道はないけれど/自分の信じる道へ」。確かにそうです。道のない空。そこに詩があります。








めざめ
児童学科3年 古滝 夕華

私は静かに目をとじる
そこには誰もいない
待ちわびた扉だけが立っている
みるみる頬が温かく染まり
揺らめくカーテンに手を伸ばす
体中がいっぱいのカーテンに包まれる

私はアリス
不思議の国に迷い込む女の子

ここは一体どこだろう?
深い影で足元は何も見えない
赤くなった頬がどんどん青くなる

白ウサギが私の前をかけぬける
慌てて私は追いかける
迷子の子どものように探してる

白い影が突然糸が切れたように動かない
赤く丸い瞳がほほえみかける

足元から頭の先まで淡い光に包まれる
闇の色からお菓子の甘い色になる
青かった頬がどんどん赤くなる

白い影はもういない

私は大丈夫
目をあけられるから
黒の中でもこころはあったかいから

さあ 不思議の国の扉をあけてみよ






選者のことば

 秀逸。「めざめ」は不思議の国に迷い込んだアリスに仮託して危うい状態から立ち直っていこうとする意志を心の比喩を駆使して造形しています。






 広大な宇宙も、ささやかな日常も、詩にとって<世界>との通路です。今、急速に色彩を変えつつある<世界>に、文芸の力は益々貴重な光となるでしょう。皆様にとって、詩心をはぐくむことが生きていくうえでの一助となりますように。

「歴程」同人、「弘前詩塾」主宰 (弘前在住)